ノ張るしめ縄の長さが、五|尋《ひろ》くらいで足りたものが、今では六尋も要るので、千幾百年も経ってこんな大きさになっていながら、まだ成長をやめないのかと、唯もう驚かれるばかりだということだ。
六千年といえば、長い人類の歴史をも遥か下の方に見くだして、その頭は闇い「忘却」のかなたに入っている。その間樹は絶えず成長を続けて来たのだ。その脚の下には大地を踏《ふま》え、肩の上には天を支えて微塵の動ぎをも見せない巨柱のように衝っ立ってはいるが、樹は一瞬の間も休みなく変化を続けて、その大きさを増しているのだ。すべての草花は、その短い一生の間に、自分の全重量のざっと二百倍もの水分を土のなかから吸収するといわれているが、この巨木が六千年の間昼夜をすてず、大地のなかから吸い上げた養いが、どれほど大きなものであったろうかは、誰にも思いやられることだ。その養いは数知れぬ青い葉となって日光に呼吸し、すぐよかな枝となって空に躍り、また鯨の背のような厚ぼったい樹皮となり、髄となりして、今も尚六千年のむかし、土から柔かい双葉を持ち上げた、その頃の生命の新鮮さを失わないでいる。
人間はものの数ではない。神よりも強健
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