って、一本を使い切らないうちに飽《あき》が来て、又新しいのを手に入れたくなり、之《これ》を手に入れて少時《しばらく》すると、又種類の違った別のものが欲しくなるといった風に、夫《それ》から夫へと各種のペンや軸を試みて嬉《うれ》しがるそうだが、是《これ》は今の日本に沢山《たくさん》あり得る道楽とも思えない。西洋では煙管《パイプ》に好みを有《も》って、大小長短色々|取《と》り交《ま》ぜた一組を綺麗《きれい》に暖炉《だんろ》の上などに並べて愉快がる人がある。単に蒐集狂《しゅうしゅうきょう》という点から見れば、此|煙管《パイプ》を飾る人も、盃《さかずき》を寄せる人も、瓢箪《ひょうたん》を溜《た》める人も、皆同じ興味に駆《か》られるので、同種類のもののうちで、素人《しろうと》に分らない様な微妙な差別を鋭敏に感じ分ける比較力の優秀を愛するに過ぎない。万年筆狂も性質から云えば、多少実用に近い点で、以上と区別の出来ない事もないが、強《し》いて無くても済むものを五つも六つも取《と》り揃《そろ》えるのだから今|挙《あ》げた種類の蒐集狂と大した変りのある筈《はず》がない。ただ其数に至っては、少なくとも目下の日
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