となく長い旗を所々に植え付けた上に、世界万国の国旗をことごとく借りて来たくらい、縄《なわ》から縄、綱《つな》から綱へ渡《わた》しかけて、大きな空が、いつになく賑《にぎ》やかに見える。東の隅《すみ》に一夜作りの舞台《ぶたい》を設けて、ここでいわゆる高知の何とか踴りをやるんだそうだ。舞台を右へ半町ばかりくると葭簀《よしず》の囲いをして、活花《いけばな》が陳列《ちんれつ》してある。みんなが感心して眺めているが、一向くだらないものだ。あんなに草や竹を曲げて嬉《うれ》しがるなら、背虫の色男や、跛《びっこ》の亭主《ていしゅ》を持って自慢《じまん》するがよかろう。
舞台とは反対の方面で、しきりに花火を揚げる。花火の中から風船が出た。帝国万歳《ていこくばんざい》とかいてある。天主の松の上をふわふわ飛んで営所のなかへ落ちた。次はぽんと音がして、黒い団子が、しょっと秋の空を射抜《いぬ》くように揚《あ》がると、それがおれの頭の上で、ぽかりと割れて、青い烟《けむり》が傘《かさ》の骨のように開いて、だらだらと空中に流れ込んだ。風船がまた上がった。今度は陸海軍万歳と赤地に白く染め抜いた奴が風に揺られて、温泉《ゆ
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