》じゃけれ、大方ここじゃろうてて捜《さが》し当ててお出でたのじゃがなもしと、閾《しきい》の所へ膝《ひざ》を突《つ》いて山嵐の返事を待ってる。山嵐はそうですかと玄関《げんかん》まで出て行ったが、やがて帰って来て、君、生徒が祝勝会の余興を見に行かないかって誘《さそ》いに来たんだ。今日は高知《こうち》から、何とか踴《おど》りをしに、わざわざここまで多人数《たにんず》乗り込んで来ているのだから、是非見物しろ、めったに見られない踴《おどり》だというんだ、君もいっしょに行ってみたまえと山嵐は大いに乗り気で、おれに同行を勧める。おれは踴なら東京でたくさん見ている。毎年|八幡様《はちまんさま》のお祭りには屋台が町内へ廻ってくるんだから汐酌《しおく》みでも何でもちゃんと心得ている。土佐っぽの馬鹿踴なんか、見たくもないと思ったけれども、せっかく山嵐が勧めるもんだから、つい行く気になって門へ出た。山嵐を誘いに来たものは誰かと思ったら赤シャツの弟だ。妙《みょう》な奴《やつ》が来たもんだ。
 会場へはいると、回向院《えこういん》の相撲《すもう》か本門寺《ほんもんじ》の御会式《おえしき》のように幾旒《いくながれ》
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