き》の種田家《たねだけ》の別荘へ招待されて鴨猟《かもりょう》をやった」と五分刈《ごぶがり》の浅黒いのが答えた。
「鴨にはまだ早いだろう」
「もういいね。十羽ばかり取ったがね。僕が十羽、大谷《おおたに》が七羽、加瀬《かせ》と山内《やまのうち》が八羽ずつ」
「じゃ君が一番か」
「いいや、斎藤は十五羽だ」
「へえ」と仙台平は感心している。
同期の卒業生は多いなかに、たった五六人しか見えん。しかもあまり親しくないものばかりである。高柳君は挨拶だけして別段話もしなかったが、今となって見ると何だか恋しい心持ちがする。どこぞにおりはせぬかと見廻したが影も見えぬ。ことによると帰ったかも知れぬ。自分も帰ろう。
主客《しゅかく》は一である。主《しゅ》を離れて客《かく》なく、客を離れて主はない。吾々が主客の別を立てて物我《ぶつが》の境《きょう》を判然と分劃《ぶんかく》するのは生存上の便宜《べんぎ》である。形を離れて色なく、色を離れて形なき強《し》いて個別するの便宜、着想を離れて技巧なく技巧を離れて着想なきをしばらく両体となすの便宜と同様である。一たびこの差別を立《りっ》したる時|吾人《ごじん》は一の迷路
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