ぽっけっとへ突き込んだまま肘《ひじ》を張っている。一人は細い杖《つえ》に言訳《いいわけ》ほどに身をもたせて、護謨《ゴム》びき靴の右の爪先《つまさき》を、竪《たて》に地に突いて、左足一本で細長いからだの中心を支《ささ》えている。
「まるで給仕人《ウェーター》だ」と一本足が云う。
 高柳君は自分の事を云うのかと思った。すると色胴衣が
「本当にさ。園遊会に燕尾服《えんびふく》を着てくるなんて――洋行しないだってそのくらいな事はわかりそうなものだ」と相鎚《あいづち》を打っている。向うを見るとなるほど燕尾服がいる。しかも二人かたまって、何か話をしている。同類相集まると云う訳だろう。高柳君はようやくあれを笑ってるのだなと気がついた。しかしなぜ燕尾服が園遊会に適しないかはとうてい想像がつかなかった。
 芝生の行き当りに葭簀掛《よしずが》けの踊舞台《おどりぶたい》があって、何かしきりにやっている。正面は紅白の幕で庇《ひさし》をかこって、奥には赤い毛氈《もうせん》を敷いた長い台がある。その上に三味線を抱えた女が三人、抱えないのが二人並んでいる。弾《ひ》くものと唄《うた》うものと分業にしたのである。舞台の
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