れた。そうしてまた会った。自分を離れた以後の清子に、昔のままの眼が、昔と違った意味で、やっぱり存在しているのだと注意されたような心持のした時、津田は一種の感慨に打たれた。
「それはあなたの美くしいところです。けれどももう私を失望させる美しさに過ぎなくなったのですか。判然教えて下さい」
 津田の疑問と清子の疑問が暫時《ざんじ》視線の上で行き合った後《あと》、最初に眼を引いたものは清子であった。津田はその退《ひ》き方《かた》を見た。そうしてそこにも二人の間にある意気込《いきごみ》の相違を認めた。彼女はどこまでも逼《せま》らなかった。どうでも構わないという風に、眼をよそへ持って行った彼女は、それを床《とこ》の間《ま》に活《い》けてある寒菊の花の上に落した。
 眼で逃げられた津田は、口で追《おっ》かけなければならなかった。
「なんぼ僕だってただ吉川の奥さんの使に来ただけじゃありません」
「でしょう、だから変なのよ」
「ちっとも変な事はありませんよ。僕は僕で独立してここへ来《き》ようと思ってるところへ、奥さんに会って、始めてあなたのここにいらっしゃる事を聴かされた上に、ついお土産《みやげ》まで頼
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