次の日曜ぐらいに、君の家《うち》へ持って行って見せる事にしたら」
 津田は驚ろいた。
「僕に絵なんか解らないよ」
「いや、そんなはずはない、ねえ原。何しろ持って行って見せてみたまえ」
「ええ御迷惑でなければ」
 津田の迷惑は無論であった。
「僕は絵だの彫刻だのの趣味のまるでない人間なんですから、どうぞ」
 青年は傷《きずつ》けられたような顔をした。小林はすぐ応援に出た。
「嘘《うそ》を云うな。君ぐらい鑑賞力の豊富な男は実際世間に少ないんだ」
 津田は苦笑せざるを得なかった。
「また下らない事を云って、――馬鹿にするな」
「事実を云うんだ、馬鹿にするものか。君のように女を鑑賞する能力の発達したものが、芸術を粗末にする訳がないんだ。ねえ原、女が好きな以上、芸術も好きにきまってるね。いくら隠したって駄目だよ」
 津田はだんだん辛防《しんぼう》し切れなくなって来た。
「だいぶ話が長くなりそうだから、僕は一足《ひとあし》先へ失敬しよう、――おい姉さん会計だ」
 給仕が立ちそうにするところを、小林は大きな声を出して止《と》めながら、また津田の方へ向き直った。
「ちょうど今一枚|素敵《すてき》に好い
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