でどうするんです。会って訊くだけじゃありませんか」
 津田は返事ができなかった。会うのがそれほど必要にしたところで、どんな方法でどこでどうして会うのか。その方が先決問題でなければならなかった。
「だから私《わたし》が今日わざわざここへ来たんじゃありませんか」と夫人が云った時、津田は思わず彼女の顔を見た。
「実は疾《と》うから、あなたの料簡《りょうけん》をよく伺って見たいと思ってたところへね、今朝《けさ》お秀さんがあの事で来たもんだから、それでちょうど好い機会だと思って出て来たような訳なんですがね」
 腹に支度の整わない津田の頭はただまごまごするだけであった。夫人はそれを見澄《みすま》してこういった。
「誤解しちゃいけませんよ。私は私、お秀さんはお秀さんなんだから。何もお秀さんに頼まれて来たからって、きっとあの方《かた》の肩ばかり持つとは限らないぐらいは、あなたにだって解るでしょう。先刻《さっき》も云った通り、私はこれでもあなたの同情者ですよ」
「ええそりゃよく心得ています」
 ここで問答に一区切《ひとくぎり》を付けた夫人は、時を移さず要点に達する第二の段落に這入《はい》り込んで行った。
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