この特別な関係が夫人をどう支配しているか、そこをもっと明らかに突きとめたところに、新らしい問題は始めて起るのだと気がついた彼は、ただ自分の誤解を認めるだけではすまされなかった。
 夫人は一口に云い払った。
「私はあなたの同情者よ」
 津田は答えた。
「それは今までついぞ疑《うたぐ》って見た例《ためし》もありません。私《わたくし》は信じ切っています。そうしてその点で深くあなたに感謝しているものです。しかしどういう意味で? どういう意味で同情者になって下さるつもりなんですか、この場合。私は迂濶《うかつ》ものだから奥さんの意味がよく呑《の》み込めません。だからもっと判然《はっき》り話して下さい」
「この場合に同情者として私《わたし》があなたにして上げる事がただ一つあると思うんです。しかしあなたは多分――」
 夫人はこれだけ云って津田の顔を見た。津田はまた焦《じ》らされるのかと思った。しかしそうでないと断言した夫人の問は急に変った。
「私の云う事を聴《き》きますか、聴きませんか」
 津田にはまだ常識が残っていた。彼はここへ押しつめられた何人《なんびと》も考えなければならない事を考えた。しかし考
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