った。その言訳がどこから出て来たのか、また何のためであるかまるで解らなかった。お延はただはっと思った。天恵のごとく彼女の前に露出されたこの時のお秀の背後に何が潜んでいるのだろう。お延はすぐその暗闇《くらやみ》を衝《つ》こうとした。三度目の嘘《うそ》が安々と彼女の口を滑《すべ》って出た。
「そりゃ解ってるのよ。あなたのなすった事も、あなたのなすった精神も、あたしにはちゃんと解ってるのよ。だから隠しだてをしないで、みんな打ち明けてちょうだいな。お厭《いや》?」
 こう云った時、お延は出来得る限りの愛嬌《あいきょう》をその細い眼に湛《たた》えて、お秀を見た。しかし異性に対する場合の効果を予想したこの所作《しょさ》は全く外《はず》れた。お秀は驚ろかされた人のように、卒爾《そつじ》な質問をかけた。
「延子さん、あなた今日ここへおいでになる前、病院へ行っていらしったの」
「いいえ」
「じゃどこか外《ほか》から廻っていらしったの」
「いいえ。宅《うち》からすぐ上ったの」
 お秀はようやく安心したらしかった。その代り後は何にも云わなかった。お延はまだ縋《すが》りついた手を放さなかった。
「よう、秀子さ
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