したら来るだろう」
お延の予言はあたった。津田がどうかして呼びつけたいと思っている吉川夫人は、いつの間にか来る事になっていた。
百二十一
津田の頭に二つのものが相継《あいつ》いで閃《ひら》めいた。一つはこれからここへ来るその吉川夫人を旨《うま》く取扱わなければならないという事前《じぜん》の暗示《あんじ》であった。彼女の方から病院まで足を運んでくれる事は、予定の計画から見て、彼の最も希望するところには違《ちがい》なかったが、来訪の意味がここに新らしく付け加えられた以上、それに対する彼の応答《おうとう》ぶりも変えなければならなかった。この場合における夫人の態度を想像に描いて見た彼は、多少の不安を感じた。お秀から偏見を注《つ》ぎ込《こ》まれた後の夫人と、まだ反感を煽《あお》られない前の夫人とは、彼の眼に映るところだけでも、だいぶ違っていた。けれどもそこには平生の自信もまた伴なっていた。彼には夫人の持ってくる偏見と反感を、一場《いちじょう》の会見で、充分|引繰《ひっく》り返《かえ》して見せるという覚悟があった。少くともここでそれだけの事をしておかなければ、自分の未来が危
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