する彼の態度であった。筆の先で思想上の問題を始終《しじゅう》取り扱かいつけている癖が、活字を離れた彼の日常生活にも憑《の》り移ってしまった結果は、そこによく現われた。彼は相手にいくらでも口を利かせた。その代りまたいくらでも質問をかけた。それが或程度まで行くと、質問という性質を離れて、詰問に変化する事さえしばしばあった。
 津田は心の中で、この叔父と妹と対坐《たいざ》した時の様子を想像した。ことによるとそこでまた一波瀾《ひとはらん》起したのではあるまいかという疑《うたがい》さえ出た。しかし小林に対する手前もあるので、上部《うわべ》はわざと高く出た。
「おおかためちゃくちゃに僕の悪口でも云ったんだろう」
 小林は御挨拶《ごあいさつ》にただ高笑いをした後で、こんな事を云った。
「だが君にも似合わないね、お秀さんと喧嘩をするなんて」
「僕だからしたのさ。彼奴《あいつ》だって堀の前なら、もっと遠慮すらあね」
「なるほどそうかな。世間じゃよく夫婦喧嘩っていうが、夫婦喧嘩より兄妹喧嘩の方が普通なものかな。僕はまだ女房を持った経験がないから、そっちのほうの消息はまるで解《わか》らないが、これでも妹はあ
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