「立つ事は立つ。君が催促しても、しなくっても、立つ日が来ればちゃんと立つ」
「僕は催促をするんじゃない。時間があったら君のために送別会を開いてやろうというのだ」
 今日小林から充分な事が聴《き》けなかったら、その送別会でも利用してやろうと思いついた津田は、こう云って予備としての第二の機会を暗《あん》に作り上げた。

        百十八

 故意だか偶然だか、津田の持って行こうとする方面へはなかなか持って行かれない小林に対して、この注意はむしろ必要かも知れなかった。彼はいつまでも津田の問に応ずるようなまた応じないような態度を取った。そうしてしつこく自分自身の話題にばかり纏綿《つけまつ》わった。それがまた津田の訊《き》こうとする事と、間接ではあるが深い関係があるので、津田は蒼蠅《うるさ》くもあり、じれったくもあった。何となく遠廻しに痛振《いたぶ》られるような気もした。
「君吉川と岡本とは親類かね」と小林が云い出した。
 津田にはこの質問が無邪気とは思えなかった。
「親類じゃない、ただの友達だよ。いつかも君が訊いた時に、そう云って話したじゃないか」
「そうか、あんまり僕に関係の遠い人達の
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