一番簡単に事が運ぶのだと主張した。
津田は洗濯屋の干物《ほしもの》を眺めながら、昨日《きのう》の問答をこんな風に、それからそれへと手元へ手繰《たぐ》り寄せて点検した。すると吉川夫人は見舞に来てくれそうでもあった。また来てくれそうにもなかった。つまりお延がなぜ来る方をそう堅く主張したのか解らなくなった。彼は芝居の食堂で晩餐《ばんさん》の卓に着いたという大勢を眼先に想像して見た。お延と吉川夫人の間にどんな会話が取り換わされたかを、小説的に組み合せても見た。けれどもその会話のどこからこの予言が出て来たかの点になると、自分に解らないものとして投げてしまうよりほかに手はなかった。彼はすでに幾分の直覚、不幸にして天が彼に与えてくれなかった幾分の直覚を、お延に許していた。その点でいつでも彼女を少し畏《おそ》れなければならなかった彼には、杜撰《ずざん》にそこへ触れる勇気がなかった。と同時に、全然その直覚に信頼する事のできない彼は、何とかしてこっちから吉川夫人を病院へ呼び寄せる工夫はあるまいかと考えた。彼はすぐ電話を思いついた。横着にも見えず、ことさらでもなし、自然に彼女がここまで出向いて来るような電
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