んです。妹などは無論の事、お父さんもお母さんももうないんです」
ここまで来たお秀は急に後を継《つ》ぎ足《た》した。二人の中《うち》の一人が自分を遮《さえ》ぎりはしまいかと恐れでもするような様子を見せて。
「私はただ私の眼に映った通りの事実を云うだけです。それをどうして貰《もら》いたいというのではありません。もうその時機は過ぎました。有体《ありてい》にいうと、その時機は今日過ぎたのです。実はたった今過ぎました。あなた方の気のつかないうちに、過ぎました。私は何事も因縁《いんねん》ずくと諦《あき》らめるよりほかに仕方がありません。しかしその事実から割り出される結果だけは是非共あなた方に聴いていただきたいのです」
お秀はまた津田からお延の方に眼を移した。二人はお秀のいわゆる結果なるものについて、判然《はっきり》した観念がなかった。したがってそれを聴く好奇心があった。だから黙っていた。
「結果は簡単です」とお秀が云った。「結果は一口で云えるほど簡単です。しかし多分あなた方には解らないでしょう。あなた方はけっして他《ひと》の親切を受ける事のできない人だという意味に、多分御自分じゃ気がついていら
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