なったら、その時に止《と》めていただけばそれまでですから」
お延は微笑して見せた。しかしお秀は応じなかった。
「私はいつかっから兄さんに云おう云おうと思っていたんです。嫂さんのいらっしゃる前でですよ。だけど、その機会がなかったから、今日《きょう》まで云わずにいました。それを今改めてあなた方のお揃《そろ》いになったところで申してしまうのです。それはほかでもありません。よござんすか、あなた方お二人は御自分達の事よりほかに何《なん》にも考えていらっしゃらない方《かた》だという事だけなんです。自分達さえよければ、いくら他《ひと》が困ろうが迷惑しようが、まるでよそを向いて取り合わずにいられる方だというだけなんです」
この断案を津田はむしろ冷静に受ける事ができた。彼はそれを自分の特色と認める上に、一般人間の特色とも認めて疑わなかったのだから。しかしお延にはまたこれほど意外な批評はなかった。彼女はただ呆《あき》れるばかりであった。幸か不幸かお秀は彼女の口を開く前にすぐ先へ行った。
「兄さんは自分を可愛がるだけなんです。嫂さんはまた兄さんに可愛がられるだけなんです。あなた方の眼にはほかに何にもない
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