》ったなり、どうでもこうでも、この問題を解決しなければならなくなった。
しかも傍《はた》から見たその問題はけっして重要なものとは云えなかった。遠くから冷静に彼らの身分と境遇を眺める事のできる地位に立つ誰の眼にも、小さく映らなければならない程度のものに過ぎなかった。彼らは他《ひと》から注意を受けるまでもなくよくそれを心得ていた。けれども彼らは争わなければならなかった。彼らの背後《せなか》に背負《しょ》っている因縁《いんねん》は、他人に解らない過去から複雑な手を延ばして、自由に彼らを操《あやつ》った。
しまいに津田とお秀の間に下《しも》のような問答が起った。
「始めから黙っていれば、それまでですけれども、いったん云い出しておきながら、持って来た物を渡さずにこのまま帰るのも心持が悪うござんすから、どうか取って下さいよ。兄さん」
「置いて行きたければ置いといでよ」
「だから取るようにして取って下さいな」
「いったいどうすればお前の気に入るんだか、僕には解らないがね、だからその条件をもっと淡泊《たんぱく》に云っちまったらいいじゃないか」
「あたし条件なんてそんなむずかしいものを要求してやしま
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