出《みいだ》した津田の眼には、まさにこうした二重の意味から来る不精《ぶしょう》と不関心があった。彼は何物をか待ち受けているように、いったんきっと上げた首をまた枕の上に横たえてしまった。お秀はまたお秀で、それにはいっこう頓着《とんじゃく》なく、言葉もかけずに、そっと室《へや》の内に入って来た。
彼女は何より先にまず、枕元にある膳《ぜん》を眺めた。膳の上は汚ならしかった。横倒しに引《ひ》ッ繰《く》り返《かえ》された牛乳の罎《びん》の下に、鶏卵《たまご》の殻《から》が一つ、その重みで押し潰《つぶ》されている傍《そば》に、歯痕《はがた》のついた焼麺麭《トースト》が食欠《くいかけ》のまま投げ出されてあった。しかもほかにまだ一枚手をつけないのが、綺麗《きれい》に皿の上に載っていた。玉子もまだ一つ残っていた。
「兄さん、こりゃもう済んだの。まだ食べかけなの」
実際津田の片づけかたは、どっちにでも取れるような、だらしのないものであった。
「もう済んだんだよ」
お秀は眉《まゆ》をひそめて、膳を階子段《はしごだん》の上《あが》り口《くち》まで運び出した。看護婦の手が隙《す》かなかったためか、いつまで
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