らへ放《ほう》り出《だ》しておくには、あまりに細《こま》か過《す》ぎるのが彼の持前であった。
お延は戸棚《とだな》を開けて、錠を掛けたものがどこかにないかという眼つきをした。けれども中には何にもなかった。上には殺風景な我楽多《がらくた》が、無器用に積み重ねられているだけであった。下は長持でいっぱいになっていた。
再び机の前に取って返したお延は、その上に乗せてある状差《じょうさし》の中から、津田|宛《あて》で来た手紙を抜き取って、一々調べ出した。彼女はそんな所に、何にも怪しいものが落ちているはずがないとは思った。しかし一番最初眼につきながら、手さえ触れなかった幾通の書信は、やっぱり最後に眼を通すべき性質を帯びて、彼女の注意を誘《いざな》いつつ、いつまでもそこに残っていたのである。彼女はつい念のためという口実の下《もと》に、それへ手を出さなければならなくなった。
封筒が次から次へと裏返された。中身が順々に繰りひろげられた。あるいは四半分、あるいは半分、残るものは全部、ことごとくお延によって黙読された。しかる後彼女はそれを元通りの順で、元通りの位置に復《もど》した。
突然疑惑の焔《ほ
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