貰いに来たついでに、私を厭がらせようとおっしゃるんですか」
「いやそうでもありません。僕はこれで天然自然のつもりなんですからね。奥さんよりもよほど技巧は少ないと思ってるんです」
「そんな事はどうでも、私の問にはっきりお答えになったらいいじゃありませんか」
「だから僕は天然自然だと云うのです。天然自然の結果、奥さんが僕を厭がられるようになるというだけなのです」
「つまりそれがあなたの目的でしょう」
「目的じゃありません。しかし本望《ほんもう》かも知れません」
「目的と本望とどこが違うんです」
「違いませんかね」
お延の細い眼から憎悪《ぞうお》の光が射した。女だと思って馬鹿にするなという気性《きしょう》がありありと瞳子《ひとみ》の裏《うち》に宿った。
「怒っちゃいけません」と小林が云った。「僕は自分の小さな料簡《りょうけん》から敵打《かたきうち》をしてるんじゃないという意味を、奥さんに説明して上げただけです。天がこんな人間になって他《ひと》を厭がらせてやれと僕に命ずるんだから仕方がないと解釈していただきたいので、わざわざそう云ったのです。僕は僕に悪い目的はちっともない事をあなたに承認して
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