《くるま》を断った。しかし停留所まで自身で送ってやるという彼の好意を断りかねた。二人はついに連れ立って長い坂を河縁《かわべり》の方へ下りて行った。
「叔父さんの病気には運動が一番いいんだからね。――なに歩くのは自分の勝手さ」
 肥っていて呼息《いき》が短いので、坂を上《のぼ》るときおかしいほど苦しがる彼は、まるで帰りを忘れたような事を云った。
 二人は途々夜の更《ふ》けた昨夕《ゆうべ》の話をした。仮寝《うたたね》をして突ッ伏していたお時の様子などがお延の口に上った。もと叔父の家《うち》にいたという縁故で、新夫婦|二人《ふたり》ぎりの家庭に住み込んだこの下女に対して、叔父は幾分か周旋者の責任を感じなければならなかった。
「ありゃ叔母さんがよく知ってるが、正直で好い女なんだよ。留守《るす》なんぞさせるには持って来いだって受合ったくらいだからね。だが独《ひと》りで寝ちまっちゃ困るね、不用心で。もっともまだ年歯《とし》が年歯だからな。眠い事も眠いだろうよ」
 いくら若くっても、自分ならそんな場合にぐっすり寝込まれる訳のものでないという事をよく承知していたお延は、叔父のこの想《おも》いやりをただ
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