しが引くから、あなた自分でおきめなさい、ね。何でも今あなたのお腹の中で、一番知りたいと思ってる事があるでしょう。それにするのよ、あなたの方で、自分勝手に。よくって」
お延は例の通り継子の机の上に乗っている彼ら夫婦の贈物を取ろうとした。すると継子が急にその手を抑えた。
「厭よ」
お延は手を引込めなかった。
「何が厭なの。いいからちょいとお貸しなさいよ。あなたの嬉しがるのを出して上げるから」
神籤《みくじ》に何の執着もなかったお延は、突然こうして継子と戯《たわむ》れたくなった。それは結婚以前の処女らしい自分を、彼女に憶《おも》い起させる良《い》い媒介《なかだち》であった。弱いものの虚《きょ》を衝《つ》くために用いられる腕の力が、彼女を男らしく活溌《かっぱつ》にした。抑えられた手を跳《は》ね返した彼女は、もう最初の目的を忘れていた。ただ神籤箱《みくじばこ》を継子の机の上から奪い取りたかった。もしくはそれを言い前に、ただ継子と争いたかった。二人は争った。同時に女性の本能から来るわざとらしい声を憚《はばか》りなく出して、遊技的《ゆうぎてき》な戦いに興を添えた。二人はついに硯箱《すずりばこ》
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