で堰《せ》きとめていた口の関も破れた。彼女はついに泣きながら声を出した。
「何もそんなにまでして、あたしを苛《いじ》めなくったって……」
叔父は当惑そうな顔をした。
「苛めやしないよ。賞《ほ》めてるんだ。そらお前が由雄さんの所へ行く前に、あの人を評した言葉があるだろう。あれを皆《みん》な蔭《かげ》で感心しているんだ。だから……」
「そんな事|承《うかが》わなくっても、もうたくさんです。つまりあたしが芝居へ行ったのが悪いんだから。……」
沈黙がすこし続いた。
「何だかとんだ事になっちまったんだね。叔父さんの調戯《からか》い方《かた》が悪かったのかい」
「いいえ。皆《み》んなあたしが悪いんでしょう」
「そう皮肉を云っちゃいけない。どこが悪いか解らないから訊《き》くんだ」
「だから皆《みん》なあたしが悪いんだって云ってるじゃありませんか」
「だが訳を云わないからさ」
「訳なんかないんです」
「訳がなくって、ただ悲しいのかい」
お延はなお泣き出した。叔母は苦々《にがにが》しい顔をした。
「何だねこの人は。駄々ッ子じゃあるまいし。宅《うち》にいた時分、いくら叔父さんに調戯われたって、そんな
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