平らげ切れないほどの白い豆腐が生《なま》のままで供えられた。
 むくむくと肥え太った叔父の、わざとする情《なさけ》なさそうな顔を見たお延は、大して気の毒にならないばかりか、かえって笑いたくなった。
「少しゃ断食でもした方がいいんでしょう。叔父さんみたいに肥って生きてるのは、誰だって苦痛に違ないから」
 叔父は叔母を顧《かえり》みた。
「お延は元から悪口やだったが、嫁に行ってから一層達者になったようだね」

        六十一

 小さいうちから彼の世話になって成長したお延は、いろいろの角度で出没《しゅつぼつ》するこの叔父の特色を他人よりよく承知していた。
 肥った身体《からだ》に釣り合わない神経質の彼には、時々自分の室《へや》に入ったぎり、半日ぐらい黙って口を利《き》かずにいる癖がある代りに、他《ひと》の顔さえ見ると、また何かしらしゃべらないでは片時《かたとき》もいられないといった気作《きさく》な風があった。それが元気のやり場所に困るからというよりも、なるべく相手を不愉快にしたくないという対人的な想《おも》いやりや、または客を前に置いて、ただのつそつとしている自分の手持無沙汰《ても
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