日は宅《うち》へ来て泊って行かないかね」
「え、ありがとう」
泊るとも泊らないとも片づかない挨拶《あいさつ》をしたお延は、微笑しながら叔母を見た。叔母はまた「あなたの気楽さ加減にも呆《あき》れますね」という表情で叔父を見た。そこに気がつかないのか、あるいは気がついても無頓着《むとんじゃく》なのか、彼は同じ事を、前よりはもっと真面目《まじめ》な調子で繰り返した。
「泊って行くなら、泊っといでよ。遠慮は要《い》らないから」
「泊っていけったって、あなた、宅《うち》にゃ下女がたった一人で、この子の帰るのを待ってるんですもの。そんな事無理ですわ」
「はあ、そうかね、なるほど。下女一人じゃ不用心だね」
そんなら止《よ》すが好かろうと云った風の様子をした叔父は、無論最初からどっちでも構わないものをちょっと問題にして見ただけであった。
「あたしこれでも津田へ行ってからまだ一晩も御厄介《ごやっかい》になった事はなくってよ」
「はあ、そうだったかね。それは感心に品行方正の至《いたり》だね」
「厭だ事。――由雄だって外へ泊った事なんか、まだ有りゃしないわ」
「いや結構ですよ。御夫婦お揃《そろい》で、お
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