札を振り出しては、箱の大きさと釣り合うようにできた文句入《もんくいり》の折手本《おりでほん》を繰《く》りひろげて見た。そうしてそこに書いてある蠅《はえ》の頭ほどな細かい字を読むために、これも附属品として始めから添えてある小さな虫眼鏡を、羽二重《はぶたえ》の裏をつけた更紗《さらさ》の袋から取り出して、もったいらしくその上へ翳《かざ》したりした。お延が津田と浅草へ遊びに行った時、玩具《おもちゃ》としては高過ぎる四円近くの代価を払って、仲見世から買って帰った精巧なこの贈物は、来年二十一になる継子にとって、処女の空想に神秘の色を遊戯的《ゆうぎてき》に着けてくれる無邪気な装飾品であった。彼女は時として帙《ちつ》入のままそれを机の上から取って帯の間に挟《はさ》んで外出する事さえあった。
「今日も持って来たの?」
 お延は調戯半分《からかいはんぶん》彼女に訊《き》いて見たくなった。彼女は苦笑しながら首を振った。母が傍《そば》から彼女に代って返事をするごとくに云った。
「今日の予言はお神籤《みくじ》じゃないのよ。お神籤よりもっと偉《えら》い予言なの」
「そう」
 お延は後が聞きたそうにして、母子《おや
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