としても、全然|旧《きゅう》には復らない。なお他の一つは旧にかえるのではなく新しい departure をする。これらによって essential な personality を発揮する事ができる。
導体的の文芸家美術家も、必要かも知れないが、人間の本分として、凡《すべ》ての人は自覚しなければならない。此所《ここ》が大切な所で充分に説明しなければいけないんですが、今日は時間がないからこれでやめます。
私のいうた事は、あなた方《がた》と私どもとの職業の違いから出立《しゅったつ》して、私どもの方の事を精《くわ》しくいったのでありますけれども、同時にまたあなた方の方にも或程度までは応用が利くかと思います。あなた方の職業の方面において幾分か参考になる事がありはしないかと思うのです。尤《もっと》も文芸部の会ですから応用が利かなくっても、威張《いば》ってそういう権利があります。しかし個人としてなり職業としてなり、あなた方の御参考になれば、私は非常に嬉しいのであります。――それだけです。
[#地から2字上げ](東京高等工業学校校友会雑誌所載の略記による)
[#地付き]――大正三年一月十七日東京高
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