あざや》かに照らすほどに思い切ったものである。眉深《まぶか》に鳥打帽を被《かぶ》っても、三日月形《みかづきがた》の廂《ひさし》では頬から下をどうする事もできないので、直下《じか》に射《い》りつけられる所は痛いくらいほてる。そこへ馬の蹄《ひづめ》に掻《か》き立てられた軽い埃《ほこり》が、車の下から濛々《もうもう》と飛んで来る。番頭は、結構な御日和《おひより》です、少し風でも吹いたらこんなものじゃありませんと喜んでいる。そのうち馬車が家を離れて広い原へ出た。原だから無論|樹《き》も草も見えないのは当然だが、遠く眺めると、季節だけに青いものが際限のない地の上皮《うわがわ》に、幾色かの影になって、一面に吹き出している。なぜこれほどの地面を空《むな》しく明けておくかは、家屋の発展に忙殺《ぼうさい》されつつある東京ものの眼には即時の疑問として起《おこ》る訳であるが、この際はそれよりも窮屈な人間を通り抜けて晴々《せいせい》したと云う意識の方が一度に余の頭を照らした。路は固《もと》よりついていない。東西南北共に天に作った路であるから、轍《わだち》の迹《あと》は行く人の心任せに思い思いの見当《けんとう》
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