年は愚《おろ》か、一二カ月で河口はすっかり塞《ふさ》がってしまいそうである。それでも三千|噸《トン》ぐらいな汽船は苦《く》もなくのそのそ上《のぼ》って来ると云うんだから支那の河は無神経である。人間に至っては固《もと》より無神経で、古来からこの泥水を飲んで、悠然《ゆうぜん》と子を生んで今日《こんにち》まで栄えている。
 サンパンと云う船がここかしこに浮かんで形《なり》に合しては大き過ぎるぐらいな帆《ほ》を上げている。帆の裏には細い竹を何本となく横に渡してあるから、帆に角《かど》が立つのみか、捲《ま》き上《あ》げる時にはがらがら鳴る。日本では見られない絵である。その間を横切って向岸《むこうぎし》へ着いた。向岸には何にもない。ただ停車場《ステーション》が一つある。北京《ペキン》への急行が出るとか云うので、客がたくさん列車に乗り込んでいる。下等室を覗《のぞ》いたら、腰かけも何もない平土間《ひらどま》に、みんなごろごろ寝ころんでいた。帰りにはサンパンに乗って、泥の流《ながれ》を押し渡った。風が出ると難儀だそうである。春の初めには山のような氷が流れてくる。先が見えないので、氷と氷の間に挟《はさ》ま
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