上に並んでいる。春先《はるさき》弁当でも持って遊《あそび》に来るには至極《しごく》結構だが、ところが満洲だけになお珍らしい。余は痛い腹を抑《おさ》えて、とうとう天辺《てっぺん》まで登った。するとそこに小さな廟《びょう》があった。正面に向って、聯《れん》などを読んでいると、すぐ傍《そば》で梭《おさ》の音がする。廟守《びょうもり》でもおりそうなので、白壁を切り抜いた入口を潜《くぐ》って中へ這入った。暗い土間を通り越して、奥を覗《のぞ》いて見たら、窓の傍《そば》に機《はた》を据《す》えて、白い疎髯《そぜん》を生やした爺《じい》さんが、せっせと梭を抛《な》げていた。織っていたものは粗《あら》い白布《しろぬの》である。案内の男が二言《ふたこと》三言《みこと》支那語で何か云うと、老人は手を休めて、暢気《のんき》な大きい声で返事をする。七十だそうですと案内が通訳してくれた。たった一人でここにいて、飯はどうするのだろうと、ついでに通訳を煩《わずら》わして見た。下の家から運んでくるものを食っているそうであった。その下の家と云うのがすなわち梨畠《なしばたけ》の主人のところだと案内は説明した。
 やがて、山
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