文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎
夏目漱石
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)文芸が果《はた》して
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)又|些《ち》っと
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)とてもおいそれ[#「おいそれ」に傍点]と
−−
文芸が果《はた》して男子一生の事業とするに足るか何《ど》うかと云うことに答える前に、先《ま》ず文芸とは如何《いか》なるものであるか、と云うことを明かにしなければならぬ。文芸も見ように依って色々に見られるから、足るか足らぬかと争う前に、先《ま》ず相互の間に文芸とは如斯《かくのごとき》ものであると定めてかからねばなるまい。自分の云う文芸とは斯《こ》う云うものである。貴方《あなた》の云う文芸とは然《そ》う云うものか、では男子一生の事業とするに足るとか、足らないとか論ずべきであって、若《も》し、相互の間に文芸とは斯う云うものであると云うことを定《き》めてかからない以上、其論は何時《いつ》まで経っても終ることはない。それでは文芸とは如何《いか》なるものぞと文芸の定義を下す
次へ
全8ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夏目 漱石 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング