と云うことは、又|些《ち》っと難《むず》かしいことで、とてもおいそれ[#「おいそれ」に傍点]とそんな手早く出来ることではない。兎《と》に角《かく》斯《こ》う云う問題は答えるに些っと答え難《にく》い。文芸其物を明らかにしてから言わねばならぬ。それなら、私は明らかであるか何《ど》うかと言えば、私は斯う答える。何人も満足せしめ得る程に明らかに自分は考えて居ないかも知れない、けれ共自分を満足せしむる丈《だ》けには、相当の考えを持って居る意《つもり》である。其考えに依って此の問題を判断すると何《ど》うかと云うと、例の如《ごと》く面倒くさくなる。斯《こ》う斯う斯うであるからして、私は文芸を以《もっ》て男子一生の事業とするに足る、其理由を一々|挙《あ》げて来なければならぬから、些《ち》っと手軽くは話されない。中々難かしくなる。然し、其理由は抜きにして、結論だけ言えと云うなら訳はなくなる。自分の文芸に対する考えに基づいて文芸と云う其職業を判断して見ると、世間に存在して居る如何《いか》なる立派なる職業を持って来て比較して見ても、それに劣るとは言えない。優《まさ》るとは言えないかも知れないが、劣るとは言え
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