文芸の哲学的基礎
夏目漱石
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)布衍《ふえん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)四五日の後|丁寧《ていねい》なる口上を添えて、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「特のへん+仞のつくり」、第4水準2−80−18]
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東京美術学校文学会の開会式に一場の講演を依頼された余は、朝日新聞社員として、同紙に自説を発表すべしと云う条件で引き受けた上、面倒ながらその速記を会長に依頼した。会長は快よく承諾されて、四五日の後|丁寧《ていねい》なる口上を添えて、速記を余のもとに送付された。見ると腹案の不充分であったためか、あるいは言い廻し方の不適当であったためか、そのままではほとんど紙上に載せて読者の一覧を煩《わずら》わすに堪《た》えぬくらい混雑している。そこでやむをえず全部を書き改める事にして、さて速記を前へ置いてやり出して見ると、至る処に布衍《ふえん》の必要を生じて、ついには原稿の
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