デフォーの作物を批評する必要があって、その作物を読直すときに偶然この句に出合いまして、ふと沙翁のヘンリー四世中の語を思い出して、その内容の同じきにも関《かかわ》らず、その感じに大変な相違のあるに驚きましたが、なぜこんな相違があるかに至っては解剖して見るまでは判然と自分にもわからなかったのであります。そこでこれから御話しをするのは私の当時の感じを解剖した所であります。
 沙翁の方から述べますと――あの句は帝王が年中(十年でもよい、二十年でもよい。いやしくも彼が位にある間だけ)の身心状態を、長い時間に通ずる言葉であらわさないで、これを一刻につづめて示している。そこが一つの手際《てぎわ》であります。その意味をもっと詳《くわ》しく説明するとこうなります。uneasy(不安)と云う語は漠然《ばくぜん》たる心の状態をあらわすようであるが実は非常に鋭敏なよく利《き》く言葉であります。例《たと》えば椅子の足の折れかかったのに腰をかけて uneasy であるとか、ズボン釣りを忘れたためズボンが擦《ず》り落ちそうで uneasy であるとか、すべて落ちつかぬ様子であります。もちろん落ちつかぬ様子と云うのは
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