ずる。(三)選択が理想を孕《はら》む。(四)次にこの理想を実現して意識が特殊[#「特殊」に白丸傍点]なる連続的方向を取る。(五)その結果として意識が分化する、明暸《めいりょう》になる、統一せられる。(六)一定の関係を統一して時間に客観的存在を与える。(七)一定の関係を統一して空間に客観的存在を与える。(八)時間、空間を有意義ならしむるために数を抽象してこれを使用する。(九)時間内に起る一定の連続を統一して因果《いんが》の名を附して、因果の法則を抽象する。
 まずざっと、こんなものであります。してみると空間というものも時間というものも因果の法則というものも皆|便宜上《べんぎじょう》の仮定であって、真実に存在しているものではない。これは私がそう云うのです。諸君がそうでないと云えばそれでもよい。御随意である。とにかく今日だけはそう仮定したいものだと思います。それでないと話が進行しません。なぜこんな余計な仮定をして平気でいるかというと、そこが人間の下司《げす》な了簡《りょうけん》で、我々はただ生きたい生きたいとのみ考えている。生きさえすれば、どんな嘘《うそ》でも吐《つ》く、どんな間違でも構わず
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