ぼつか》ないかも知れない。まあちょうどよいのです。
 どうして、こんな矛盾が起るかと云う問題に対して、ただ一口に説明してしまえば訳はない。前に申す通り吾々《われわれ》の生命は――吾々と云うと自他を樹立する語弊はあるがしばらく便宜のために使用します――吾々の生命は意識の連続であります。そうしてどういうものかこの連続を切断する事を欲しないのであります。他の言葉で云うと死ぬ事を希望しないのであります。もう一つ他の言葉で云うとこの連続をつづけて行く事が大好きなのであります。なぜ好むかとなると説明はできない。誰が出て来ても説明はできない。ただそれが事実であると認めるよりほかに道はない。もちろん進化論者に云わせるとこの願望も長い間に馴致《じゅんち》発展し来ったのだと幾分かその発展の順序を示す事ができるかも知れない。と云うものはそんな傾向をもっておらないようなもの、その傾向に応じて世の中に処して来なかったものは皆死んでしまったので、今残っているやつは命の欲しい欲張りばかりになったのだと論ずる事もできるからであります。御互のように命については極《きわ》めて執着の多い、奇麗《きれい》でない、思い切りのわ
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