にして理想があらわれて来ると絵画が成立します。だからして前者の理想はおもに意識の推移する有様であらわれて来ます。したがってこの推移法が理想的に行く作物は、読者をして還元的感化をうけやすくします。これを動の還元的感化と云います。それから後者の理想はおもに意識の停留する有様であらわれて来ます。だから停留法がうまく行くと、すなわち意識が停留したいところを見計って、その刹那《せつな》を捕えると、観者をして還元的感化をうけやすくします。これを静の還元的感化と云います。しかしながらこれは重なる傾向から文学と絵画を分ったまでで、その実は截然《せつぜん》とこう云う区別はできんのであります。しばらくこの二要素を文学の方へかためて申しますと、推移の法則は文学の力学として論ずべき問題で、逗留《とうりゅう》の状態は文学の材料として考えるべき条項であります。双方とも批評学の発達せぬ今日は誰も手を着けておりませんから、研究の余地は幾らでもあります。私は自分の文学論のうちに、不完全ながら自分の考えだけは述べておきましたから、御参考を願います。固《もと》より新たに開拓する領土の事でありますから、御参考になるほどにはで
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