すなが》に紹介を頼んだ事や、須永がそれを引き受けて内幸町の叔父に会えるように周旋した事は、須永の傍《そば》にいる母として彼女《かのおんな》のことごとく見たり聞いたりしたところであるから、行き届いた人なら先方《さき》で何も云い出さない前に、こっちからどんな模様ですぐらいは聞いてやるべきだとでも思ったのだろう。こう観察した敬太郎は、この一句を前置に、今までの成行を残らず話そうと力《つと》めにかかったが、時々相手から「そうでございますとも」とか、「本当にまあ、間《ま》の悪い時にはね」とか、どっちにも同情したような間投詞が出るので、自分がむかっ腹《ぱら》を立てて悪体《あくたい》を吐《つ》いた事などは話のうちから綺麗《きれい》に抜いてしまった。須永の母は気の毒という言葉を何遍もくり返した後《あと》で、田口を弁護するようにこんな事を云った。――
「そりゃあ実のところ忙しい男なので。妹《いもと》などもああして一つ家に住んでおりますようなものの、――何でごさんしょう。――落々《おちおち》話のできるのはおそらく一週間に一日もございますまい。私が見かねて要作《ようさく》さんいくら御金が儲《もう》かるたって
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