御祝儀《ごしゅうぎ》とか称《とな》えて、みんなにやるのだそうです。それから立派な着物を着[#「着」は底本では「来」]たまま湯に這入《はい》って、あとは三助《さんすけ》にくれるのだそうです。彼の乱行はまだたくさんありましたが、いずれも天を恐れない暴慢|極《きわ》まるもののみでした。僕はその話を聞いた時無論彼を悪《にく》みました。けれども気概に乏しい僕は、悪むよりもむしろ恐れました。僕から彼の所行《しょぎょう》を見ると、強盗が白刃《しらは》の抜身を畳に突き立てて良民を脅迫《おびやか》しているのと同じような感じになるのです。僕は実に天とか、人道とか、もしくは神仏とかに対して申し訳がないという、真正に宗教的な意味において恐れたのです。僕はこれほど臆病な人間なのです。驕奢《きょうしゃ》に近づかない先から、驕奢の絶頂に達して躍《おど》り狂う人の、一転化の後《のち》を想像して、怖《こわ》くてたまらないのであります。――僕はこんな事を考えて、静かな波の上を流れて行く涼み船を見送りながら、このくらいな程度の慰さみが人間としてちょうど手頃なんだろうと思いました。僕も叔父さんから注意されたように、だんだん浮
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