沢《ぜいたく》なところがあるようですし、あんな内気な母にも、妙に陽気な事の好きな方面が昔から見えていました。ただ僕だけは、――こういうとまたあの問題を持ち出したなと早合点《はやがてん》なさるかも知れませんが、僕はもうあの事について叔父さんの心配なさるほど屈托《くったく》していないつもりですから安心して下さい。ただ僕だけはと断るのはけっして苦《にが》い意味で云うのではありません。僕はこの点において、叔父さんとも母とも生れつき違っていると申したいのです。僕は比較的楽に育った、物質的に幸福な子だから、贅沢と知らずに贅沢をして平気でいました。着物などでも、母の注意で、人前へ出て恥かしくないようなものを身に着けながら、これが当然だと澄ましていました。けれどもそれは永く習慣に養われた結果、自分で知らない不明から出るので、一度そこに気がつくと、急に不安になります。着物や食事はまあどうでもいいとして、僕はこの間ある富豪のむやみに金を使う様子を聞いて恐ろしくなった事があります。その男は芸者は幇間《ほうかん》を大勢集めて、鞄《かばん》の中から出した札《さつ》の束《たば》を、その前でずたずたに裂いて、それを
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