った。僕はこの変な心持と共に、千代子の見ている前で、高木の脳天に重い文鎮《ぶんちん》を骨の底まで打ち込んだ夢を、大きな眼を開《あ》きながら見て、驚ろいて立ち上った。
下へ降りるや否《いな》や、いきなり風呂場《ふろば》へ行って、水をざあざあ頭へかけた。茶の間の時計を見ると、もう午過《ひるすぎ》なので、それを好い機会《しお》に、そこへ坐《す》わって飯を片づける事にした。給仕には例の通り作《さく》が出た。僕は二《ふ》た口《くち》三口《みくち》無言で飯の塊《かたま》りを頬張ったが、突然彼女に、おい作僕の顔色はどうかあるかいと聞いた。作は吃驚《びっくり》した眼を大きくして、いいえと答えた。それで問答が切れると、今度は作の方がどうか遊ばしましたかと尋ねた
「いいや、大してどうもしない」
「急に御暑うございますから」
僕は黙って二杯の飯を食い終った。茶を注《つ》がして飲みかけた時、僕はまた突然作に、鎌倉などへ行って混雑《ごたごた》するより宅《うち》にいる方が静《しずか》で好いねと云った。作は、でもあちらの方が御涼しゅうございましょうと云った。僕はいやかえって東京より暑いくらいだ、あんな所にいると
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