て歩調を合せた。そのうちに、男の足だものだから、いつの間にか姉妹《きょうだい》を乗り越した。僕は一度振り返って見たが、二人は後《おく》れた事にいっこう頓着《とんじゃく》しない様子で、毫《ごう》も追いつこうとする努力を示さなかった。僕にはそれがわざと後《あと》から来る高木を待ち合せるためのようにしか取れなかった。それは誘った人に対する礼儀として、彼らの取るべき当然の所作《しょさ》だったのだろう。しかしその時の僕にはそう思えなかった。そう思う余地があっても、そうは感ぜられなかった。早く来いという合図をしようという考で振り向いた僕は、合図を止《や》めてまた叔父と歩き出した。そうしてそのまま小坪《こつぼ》へ這入《はい》る入口の岬《みさき》の所まで来た。そこは海へ出張《でば》った山の裾《すそ》を、人の通れるだけの狭い幅《はば》に削《けず》って、ぐるりと向う側へ廻り込まれるようにした坂道であった。叔父は一番高い坂の角まで来てとまった。

        二十一

 彼は突然彼の体格に相応した大きな声を出して姉妹を呼んだ。自白するが、僕はそれまでに何度も後《うしろ》を振り返って見ようとしたのである。
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