、さっそく立って浴衣《ゆかた》の尻を端折《はしょ》って下へ降りた。姉弟《きょうだい》三人もそのままの姿で縁から降りた。
「御前達も尻を捲《まく》るが好い」
「厭《いや》な事」
 僕は山賊のような毛脛《けずね》を露出《むきだ》しにした叔父と、静御前《しずかごぜん》の笠《かさ》に似た恰好《かっこう》の麦藁帽《むぎわらぼう》を被《かぶ》った女二人と、黒い兵児帯《へこおび》をこま結びにした弟を、縁の上から見下して、全く都離れのした不思議な団体のごとく眺《なが》めた。
「市《いっ》さんがまた何か悪口を云おうと思って見ている」と百代子が薄笑いをしながら僕の顔を見た。
「早く降りていらっしゃい」と千代子が叱るように云った。
「市さんに悪い下駄《げた》を貸して上げるが好い」と叔父が注意した。
 僕は一も二もなく降りたが、約束のある高木が来ないので、それがまた一つの問題になった。おおかたこの天気だから見合わしているのだろうと云うのが、みんなの意見なので、僕らがそろそろ歩いて行く間に、吾一が馳足《かけあし》で迎《むかえ》に行って連れて来る事にした。
 叔父は例の調子でしきりに僕に話しかけた。僕も相手になっ
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