るが、叔母はこの場合を利用して、もし縁があったら千代子を高木にやるつもりでいるぐらいの打明話《うちあけばなし》を、僕ら母子《おやこ》に向って、相談とも宣告とも片づかない形式の下《もと》に、する気だったかも知れない。すべてに気がつく癖に、こうなるとかえって僕よりも迂遠《うと》い母はどうだか、僕はその場で叔母の口から、僕と千代子と永久に手を別つべき談判の第一節を予期していたのである。幸か不幸か、叔母がまだ何も云い出さないうちに、姉妹《きょうだい》は浜から広い麦藁帽《むぎわらぼう》の縁《ふち》をひらひらさして帰って来た。僕が僕の占いの的中しなかったのを、母のために喜こんだのは事実である。同時に同じ出来事が僕を焦躁《もどか》しがらせたのも嘘《うそ》ではない。
 夕方になって、僕は姉妹と共に東京から来るはずの叔父を停車場《ステーション》に迎えるべく母に命ぜられて家《いえ》を出た。彼らは揃《そろい》の浴衣《ゆかた》を着て白い足袋《たび》を穿《は》いていた。それを後《うしろ》から見送った彼らの母の眼に彼らがいかなる誇として映じたろう。千代子と並んで歩く僕の姿がまた僕の母には画《え》として普通以上にど
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