えって苦痛になるなどと、実際活気に充《み》ちた身体《からだ》を暑さと退屈さに持ち扱かっている風に見えた。やがて、これから晩まで何をして暮らそうかしらと独言《ひとりごと》のように云って、不意に思い出したごとく、玉《たま》はどうですと僕に聞いた。幸いにして僕は生れてからまだ玉突という遊戯を試みた事がなかったのですぐ断った。高木はちょうど好い相手ができたと思ったのに残念だと云いながら帰って行った。僕は活溌《かっぱつ》に動く彼の後影を見送って、彼はこれから姉妹《きょうだい》のいる浜辺の方へ行くに違いないという気がした。けれども僕は坐《すわ》っている席を動かなかった。
十八
高木の去った後《あと》、母と叔母はしばらく彼の噂《うわさ》をした。初対面の人だけに母の印象はことに深かったように見えた。気のおけない、至って行き届いた人らしいと云って賞《ほ》めていた。叔母はまた母の批評を一々実例に照らして確かめる風に見えた。この時僕は高木について知り得た極《きわ》めて乏しい知識のほとんど全部を訂正しなければならない事を発見した。僕が百代子から聞いたのでは、亜米利加《アメリカ》帰りという
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