何とか言訳を拵《こしら》えて容易に立とうとしなかった。僕はそれを僕に対する遠慮だろうと推察して、ますます眉《まゆ》を暗くした。彼らは次に僕を誘った。僕は固《もと》より応じなかった。高木の面前から一刻も早く逃《のが》れる機会は、与えられないでも手を出して奪いたいくらいに思っていたのだが、今の気分では二人と浜辺まで行く努力がすでに厭《いや》であった。母は失望したような顔をして、いっしょに行っておいでなと云った。僕は黙って遠くの海の上を眺《なが》めていた。姉妹《きょうだい》は笑いながら立ち上った。
「相変らず偏窟《へんくつ》ねあなたは。まるで腕白小僧見たいだわ」
 千代子にこう罵《のの》しられた僕は、実際誰の目にも立派な腕白小僧として見えたろう。僕自身も腕白小僧らしい思いをした。調子の好い高木は縁側《えんがわ》へ出て、二人のために菅笠《すげがさ》のように大きな麦藁帽《むぎわらぼう》を取ってやって、行っていらっしゃいと挨拶《あいさつ》をした。
 二人の後姿が別荘の門を出た後で、高木はなおしばらく年寄を相手に話していた。こうやって避暑に来ていると気楽で好いが、どうして日を送るかが大問題になってか
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