のである。けれども彼らの娘の未来の夫として、僕が彼らの眼にいかに憐《あわ》れむべく映じていたかは、遠き前から僕の見抜いていたところと、ちっとも変化を来さないばかりか、近頃になってますますその傾《かたむき》が著るしくなるように思われた。彼らは第一に僕の弱々しい体格と僕の蒼白《あおしろ》い顔色とを婿《むこ》として肯《うけ》がわないつもりらしかった。もっとも僕は神経の鋭どく動く性質《たち》だから、物を誇大に考え過したり、要《い》らぬ僻《ひが》みを起して見たりする弊がよくあるので、自分の胸に収めた委《くわ》しい叔父叔母の観察を遠慮なくここに述べる非礼は憚《はば》かりたい。ただ一言《いちごん》で云うと、彼らはその当時千代子を僕の嫁にしようと明言したのだろう。少なくともやってもいいぐらいには考えていたのだろう。が、その後《ご》彼らの社会に占め得た地位と、彼らとは背中合せに進んで行く僕の性格が、二重に実行の便宜を奪って、ただ惚《ぼ》けかかった空《むな》しい義理の抜殻《ぬけがら》を、彼らの頭のどこかに置き去りにして行ったと思えば差支《さしつかえ》ないのである。
僕と彼らとはあらゆる人の結婚問題につい
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