を、薄気味悪く左右に見て裏へ抜けると、広い空地《あきち》の隅《すみ》に松薪《まつまき》が山のように積んであった。周囲《まわり》には綺麗《きれい》な孟宗藪《もうそうやぶ》が蒼々《あおあお》と茂っていた。その下が麦畠《むぎばたけ》で、麦畠の向うがまた岡続きに高く蜿蜒《うねうね》しているので、北側の眺《なが》めはことに晴々《はればれ》しかった。須永《すなが》はこの空地の端《はし》に立って広い眼界をぼんやり見渡していた。
「市《いっ》さん、もう用意ができたんですって」
 須永は千代子の声を聞いて黙ったまま帰って来たが、「あの竹藪《たけやぶ》は大変みごとだね。何だか死人《しびと》の膏《あぶら》が肥料《こやし》になって、ああ生々《いきいき》延びるような気がするじゃないか。ここにできる筍《たけのこ》はきっと旨《うま》いよ」と云った。千代子は「おお厭《いや》だ」と云《い》い放《ぱなし》にして、さっさとまた並等《なみとう》を通り抜けた。宵子《よいこ》の竈《かま》は上等の一号というので、扉の上に紫の幕が張ってあった。その前に昨日《きのう》の花環が少し凋《しぼ》みかけて、台の上に静かに横たわっていた。それが
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