昨夜《ゆうべ》宵子の肉を焼いた熱気《ねっき》の記念《かたみ》のように思われるので、千代子は急に息苦しくなった。御坊《おんぼう》が三人出て来た。そのうちの一番年を取ったのが「御封印を……」と云うので、須永は「よし、構わないから開けてくれ」と頼んだ。畏《かしこ》まった御坊は自分の手で封印を切って、かちゃりと響く音をさせながら錠《じょう》を抜いた。黒い鉄の扉が左右へ開《あ》くと、薄暗い奥の方に、灰色の丸いものだの、黒いものだの、白いものだのが、形を成さない一塊《ひとかたまり》となって朧気《おぼろげ》に見えた。御坊は「今出しましょう」と断って、レールを二本前の方に継《つ》ぎ足しておいて、鉄の環《かん》に似たものを二つ棺台の端《はし》にかけたかと思うと、いきなりがらがらという音と共に、かの形を成さない一塊の焼残《やけのこり》が四人の立っている鼻の下へ出て来た。千代子はそのなかで、例の御供《おそなえ》に似てふっくらと膨《ふく》らんだ宵子の頭蓋骨《ずがいこつ》が、生きていた時そのままの姿で残っているのを認めて急に手帛《ハンケチ》を口に銜《くわ》えた。御坊はこの頭蓋骨と頬骨と外に二つ三つの大きな骨を残
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